防災設備とは?建物の規模や目的に合わせた設備の種類と重要性

皆さまが、もっと知識を深めるべき建物の設備に、防災設備があります。火災をはじめとする災害は、建物を脅かす最も伝統的かつ深刻なリスクです。いつ起こるかわからず、しかも警報や消火や避難のための設備に不備があると、一瞬にして貴重な建物の価値をなくしかねないばかりか、人命に関わる事態にもつながります。また、近年サーバルームやデータセンタービル等では通信障害によるサービス停止、膨大なデータ損失により莫大な経済的損失を招く事故が発生しています。消火設備、防災に関する法律、そこで義務づけられた点検の内容など、建物を経営・管理する方ならば、必ず知っておかなくてはならない項目を解説します。

防災設備と防火についての法律

当たり前のように使われている防災設備という言葉ですが、そもそもどんな機器がどんな目的で設けられているかを改めて整理しました。あわせて、防災設備の設置やその管理業務のもとになる法律や法令がどんな体系になっているかも知っていただきたいと思います。

防災設備とは?

建物とそこに住む人・利用する人の命や財産を災害から守るために設置された設備の総称です。一口に災害といっても様々なものがありますが、その中でも、火災を対象とした防火設備を指すことが多いようです。防火設備は、それぞれの建物の規模や種別、構造、出入りする人の数などによって、いろいろなシステムや機器が設置されます。

防災設備の目的

防災設備の一番の目的は、「少しでも早期に災害を感知し、発生を知らせ、人々の迅速な避難を助けて安全を確保すること」にあります。また火災の場合、駆け付けた消防隊のスムーズな消火活動や救命活動に必要な機能を提供することも、防災設備の役割となります。万が一、火災が起きた時、あらかじめ用意された防災設備によって適切に初期消火が行われれば、火災が広がらないようにし、被害が小さなうちに鎮火することができます。

防火についての法律

建物の所有者や管理者は、次の法律や規則にもとづいて、防火設備の設置や点検を行わなくてはなりません。

  • 消防法
    防火についての根本をあらわした法律(国会が制定する命令)です。消防機関の権限、消防設備等の設置義務・更改義務、建物の規制内容などの、基本的な事項が定められています。
  • 消防法施行令
    消防法を施行するための政令(内閣によって制定された命令)です。消防用設備が満たすべき技術的基準、救急業務、消防設備の検査などについての規則が定められています。
  • 火災予防条例
    国による法律や政令の他、各市町村が火災予防条例を制定して、防火を推進しています。
    条例では、消防法の委任を受けた事柄に加えて、地方の事情により必要とされる事柄、自主的に安全性向上のため規制すべき事柄などが定められています
  • 建築基準法に基づく定期報告制度
    建築物・建築設備・防火設備・昇降機等について、定期的に専門の技術者に調査・検査をさせ、 その結果を特定行政庁に報告させることを、建築物の所有者等に義務付けられています。

防災設備・防火設備の種類

建物を災害から守るために必要な防災設備は、消火設備、警報設備、避難設備、消防活動用設備等、に大きく分けられます。防火設備は防火シャッター、防火扉、防火ダンパ等があります。それぞれの役割と具体的にどんな設備があるのかを紹介します。

消火設備

火の勢いを抑えて、延焼を防止するために使われる「消火器」、「屋内消火栓設備」などの設備です。駐車場やオフィス天井のスプリンクラー設備や、サーバルーム用のガス系消火設備も含まれます。火災がおきた時に、消防隊が駆け付ける前に、備え付けられた消火設備を使い、小さい火のうちに対処することができれば、鎮火の可能性が高まります。

警報設備

火災やガス漏れなどの発生を検知し、警報ベルなどを鳴らして建物内の人に報知するための設備です。「自動火災報知機」「ガス漏れ警報機」「火災報知機」(火災を発見した人が押す手動式の押しボタン)、「非常警報」などがあります。また、通信機械室やサーバルーム専用の火災早期検知システムについても普及が始まっています。

避難設備

災害の発生時に、建物内の人が安全かつ迅速に避難できるように設けられた設備です。
避難する人が直接使用する設備(「避難はしご」「救助袋」などの避難器具)と避難する人を避難通路・階段などへ誘導するための設備(「誘導灯」「非常用照明」など)があります。

消防活動用設備

消防隊の消火活動に役立つように、建物に備え付けられている設備です。火災で発生した煙を有効に排除するための「排煙設備」や「連結送水管」(消防隊がホースを接続すれば、消防ポンプ自動車からの送水を使って消火活動ができるようにした設備)などがあります。これらを一般の人が、利用することはありません。

防火設備

防火シャッター、防火扉、防火ダンパ等、火災を遮る設備のことを指し、周囲で発生した火災に対して、20分間は加熱面以外の面に火災を出さない遮炎性能を有していることと規定されています。また、特に建築物の火災拡大防止上有効な区画として定められている「防火区画」には、1時間の遮炎性能を有する特定防火設備の設置が義務付けられています。

防災設備は改修・点検が重要

消火や避難のための設備は、いざという時に機能をしないと被害の拡大を招きます。
「警報が正常に作動しなかった」「非常口への誘導灯が切れていた」ということは、決してあってはならないことです。したがって、不特定多数の人が利用する建物の防災設備には、消防法によって定期点検が義務づけられています。定期点検には、機器点検と総合点検があります。機器点検は6カ月ごとに、その設備がきちんと作動するか、外観に異常はないか、機能は正常かなどのチェックが設置基準や技術基準に則って行われます。また総合点検は一年に1回、設備を実際に作動させて、異常がないかを確認するというものです。点検周期の間に発生した、建物内の改修工事やテナント入れ替え等の工事について、ビル全体としての不一致や消防法・火災予防条例の改正等に適合しているかのチェックも含まれます。
防災設備の点検と適切な改修を行うことで、法令を遵守するだけでなく、建物とそれを使う人を守ることができます。点検は、ややもすると軽んじられてしまう地道な活動です。しかしその効果に疑いの余地はありません。たとえば、自動火災報知設備は、「火災時に効果的に作動した割合は90%以上」と火災の早期発見に有効な設備であることがわかっています。
効果的に作動しなかった原因は、ベル停止、電源遮断、誤結線、受信機の警戒区域名が不明、未警戒区域からの出火等です。 そのほとんどは点検や改修で対応可能なものです。

まとめ

消防法により、一定規模以上の建物に設置されている消防設備は、所有者、管理者、占有者などが維持管理に努めることが義務づけられています。その維持管理の要となるのが、点検作業です。日本メックスは、「消防設備士」、「消防設備点検資格者」「建築設備調査員資格者」など有資格者による設備点検から管理、修理・改修のご提案までをトータルでサポートしています。

(文:伊東慎一)

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