お知らせ2022年3月10日
日本メックスではDX(デジタルトランスフォーメーション)の取組みを加速しています。
今回、当社のDXの取組みの一例として、遠隔現場管理へのデジタルコミュニケーションツール(以下コミュニケーションツールと呼びます)の活用についてご紹介します。入社経歴及び現場経験の違いや、コロナ禍における交流の減少、ミドル層の空洞化などの現状や現場が抱える様々な課題をコミュニケーションツールを活用して解決していきました。皆様のご理解を深められれば幸いです。
建築ラインのチームの現状です。
工事現場を担任するチームの特徴として3つ挙げられます。
・入社経歴及び現場経験の違い。
・コロナ禍による交流の減少。
・ミドル層の空洞化が浮き彫りになっており、若手社員から中堅社員まで10年の開きがあり、グラフのように中堅社員の人数が少ないというのが現状です。
各現場が抱える課題として次の3つがありました。
問題の原因を考えました。
① 品質不良・事故・トラブルはなぜ発生するのか
品質不良・事故・トラブルはなぜ発生するのか、という問題点ですが、現場内は日々急速に状況が変化し、現場担当者のみでは管理しきれない部分があります。
その主な原因としては、
・ 複数工事掛け持ちや繁忙現場による人員不足
・ 施工知識不足
・ 品質不良を発見してもタイムラグにより改善不可能なケースがある工程内検査が挙げられます。
② 孤立現場の個人商店運営の現実
孤立化する現場として、大規模・繁忙現場が挙げられます。
その要因として、担当者の離場が厳しく、他現場・会社に足を運べないという点や、工事総括の目が行き届きにくいという点、他現場と比較し、若手社員の教育に偏りが発生するという点が挙げられます。
また、遠方現場も孤立化する現場として挙げられます。
工事総括含む、他社員が足を運べず、情報がリアルタイムに入ってこないことからより孤立化してしまいます。
新型コロナ感染拡大防止に伴う行動規制により、県をまたいでの移動が制限されてしまう点が挙げられます。
③ 現場配置による社員スキルの差
現場配置による社員スキルの差に関しては、現場規模や難易度によって社員のスキルが変化するのは当然のことですが、現場配置は希望通りにはいかず、与えられた仕事を全うしてもその差は埋まりにくい現実があります。
その差が生まれる要因として、施工計画や、品質管理、安全管理の3点が挙げられます。
着手後は離場が厳しく、高難易度現場や特殊工法などの見学に行くことは難しいです。
工程毎に足を運べても経費や時間を浪費し、効率が悪くなります。
対策として、今までの現場単位からチームでの管理へ移行してすることにしました。
チームを編成し他現場の安全・品質管理の水平展開を試みました。
そこで大規模現場であるビルをモデルとしてチームでの管理を検討しました。
従来の現場管理では現場Dには社内検査や危険工程の際に来場します。他現場である、現場A、現場Bは特殊工事や特殊工法の見学の際に来場しますが、昨今の状況ではそれが厳しくなっています。
その主な原因として、
①新型コロナウイルスの感染拡大による影響
②移動経費がかかる
③担当業務から手を離すことができない
といったことが挙げられます。
この課題クリアへ向けて、考慮することが3つあります。
・ 新型コロナウイルス
・ 低コスト化
・ 短時間化
そこでコロナ対策や近年、国土交通省推進の遠隔管理を試みることにしました。
それが「Remote On-Site」=「現場と繋がる」ということです。
そこで遠隔現場管理として社内で既に導入しているコミュニケーションツールを使用しました。
我々のRemote On-Siteでは、まず現場Dと支店、現場A、現場Bがリモートで繋がります。さらに、支店と現場A、現場Bがそれぞれリモートで繋がることによって、チームで繋がることができます。
それでは実際にどうだったか見てみましょう。
まず、従来の孤立現場での、現場Dの工程表になります。
工程表記載の通り、管理職の来場ポイントとしては危険工程初日、社内検査時が挙げられます。
工程毎の詳細部確認は社内検査時となります。
また、他現場担当者の来場には障害が多く、来場が困難になってしまいます。
これに対し、Remote On-Siteによる現場と繋がる工程管理ではコミュニケーションツールにより、工程ごとの確認が可能です。
チームでの管理ポイントとして、アスファルト防水以下の8工程をコミュニケーションツールにより管理しました。
①アスファルト防水
まずは、アスファルト防水から、リモートで施工計画書通りに施工されているかデスク側からも確認することが可能となりました。
②基礎アンカー自主検査
続いて、基礎アンカー自主検査では、通常だと現場内で納める工程ですが、コミュニケーションツールを活用し、管理職も確認することが可能になりました。
③基礎配筋検査
基礎配筋検査は、事前に設計図や施工図を共有することにより、実際の施工と図面の確認を行いました。
④基礎配筋監理者検査
基礎配筋監理者検査では、発注会社様にご協力いただき、検査を他現場から参加することを可能にしました。
⑤コンクリート品質管理検査
コンクリート品質管理検査では、数値だけでなく、経験のある先輩社員から打設時の注意事項など、知識の水平展開を行いました。
また、写真右の通り、在宅勤務中でも確認が可能です。
⑥基礎出来形検査
基礎出来形検査も写真右下のとおり、移動中や外出中でも確認可能です。
⑦鉄骨建方検査
大規模な鉄骨工事が少ないことや、狭小地での大型クレーン車の配置などを未経験の若手社員が見ることができました。
⑧鉄骨本締め検査
最後に、鉄骨本締め検査です。事故防止として、カバーの取付が義務付けられ、その状況を情報共有に活用することができました。
全体に共通する成果、現場に係る成果は下記のとおりです。これに加えて工事担当として課題克服の第一歩を踏み出すことにも成功しました。
様々な年齢・キャリアから構成されるチームではベクトル差が生まれていましたが、チームで取組む事により自然と仲間意識や興味が沸き変化が起こりました。
チームのベクトルの合意について、今までは、各現場によって、目標の大きさや方向がバラバラでしたが、チームで繋がることにより、ベクトルを合意し、共有するゴールを持つことができました。
また、現場代理人が新型コロナウイルス等に感染し、休業となった場合、従来ではリアルタイムの詳細情報共有が少なく、引継ぎに時間を要しましたが、コミュニケーションツールを活用することにより、進捗等 詳細情報まで把握しているため、スムーズに引継ぎが可能になりました。
つまり、緊急時の現場引継ぎの簡略化を実現しました。