ファシリティマネジメント(FM)とは

ビル経営やビルの施設管理に携わる皆様なら、ファシリティマネジメントという言葉はよく耳にされているはずです。でも、ファシリティマネジメントとは何か?と聞かれて、ずばりお答えになることは、そう簡単ではないのではないでしょうか。ファシリティマネジメントは、ゼネコン、設備工事、ビル管理、不動産など、幅広い分野の企業が手掛けており、重点を置く考え方や取組みはさまざまです。このコンテンツでは、ファシリティマネジメントの本質と実例をあらためて紹介しています。是非、皆様のビジネスのヒントにしていただければと思います。

ファシリティマネジメントとは?

ファシリティマネジメントのファシリティとは

ファシリティの意味を辞書で調べると、「容易なこと」「便利さ」「便宜」「便宜を図るための設備」などと書いてあります。それが転じてファシリティは、ビジネスの世界では「企業や団体の経営に関わる全ての設備や機器」を指す言葉として使われています。実際にはもっと絞りこまれて、土地、建物、施設のことをファシリティと呼ぶことが多いようです。

ファシリティマネジメントの目的

ビルの所有者やユーザーが、建物の環境を総合的に管理し、全体をより効率的あるいは戦略的に経営していくためのマネジメントの方法論をファシリティマネジメント(FM)といいます。ファシリティマネジメントに取組むにあたって大切になる考え方が、新築してから取り壊すまでに必要な総費用、つまり建物のライフサイクルコスト(LCC)です。一般的なビルでは、LCCの3/4が竣工後の費用といわれています。効率的なビル経営を目指そうというファシリティマネジメントにおいても、「住み始めてから、使い始めてからの費用をいかに減らすか」が重要な課題となります。
具体的には、一度建てた建物をできるかぎり長持ちするように、日頃の手入れや定期的な修繕を行います。また無駄なエネルギーを使わないように、省エネタイプの空調、照明機器を採用したり、建物の構造を熱を遮断するようにしたりという工夫を行います。さらに、安全で快適な環境を保ち続けるための地震対策や防犯対策も欠かせません。また、外観や機能などを常に魅力的に保つことで、多くの入居者や利用者をひきつけるようにすることも、建物を長生きさせるための重要な取組みです。

ファシリティマネジメントの認定資格

ファシリティマネジャーとして認定される資格

もともと、アメリカで生まれた経営管理手法であるファシリティマネジメント。日本では
公益社団法人ロングライフビル推進協会(BELCA)、公益社団法人日本ファシリティマネジメント協会(JFMA)、一般社団法人ニューオフィス推進協会(NOPA)の3団体が、ファシリティマネジャーの資格認定制度を通して、その普及をリードしています。
ファシリティマネジャーになるには、ファシリティマネジメントに関する専門知識はもちろん、問題解決能力、表現力、提案力、説得力などを幅広く問われる難しい試験をクリアしなくてはなりません。建物や施設の運用・維持・管理能力を持つプロの証ともいえる「認定ファイリティマネジャー」の保有者を抱えているかどうかは、ファシリティマネジメントを依頼するパートナー企業選びの重要な判断基準となります。

具体的なファシリティマネジメント サービス事例

省エネルギーコンサルティング

空調、照明、給排水などの設備で消費するエネルギーや水の量を測定し、省エネタイプや節水タイプの機器の導入や運転方法の工夫、再生可能エネルギーの導入、躯体の省エネ改修などによる対策を提案します。
これらのうち、既存の業務用ビルの省エネ対策として関心が高まるのが、「運転方法の工夫による省エネ」です。「建築物の快適性や生産性を確保しつつ、設備機器・システムの適切な運用改善等を行う」というコンセプトで活動するエコチューニング事業者がサービスを提供しています。

プロパティマネジメント(PM)/ビルディングマネジメント(BM)/アセットマネジメント(AM)

ファシリティマネジメントに関連したサービスが提供されている分野に「プロパティマネジメント(PM)」や「ビルディングマネジメント(BM)」があります。PMとは、資産の維持管理をソフト面から行うものです。多くの場合、ビルのオーナーとビル管理会社が「管理業務委託契約」を締結し、リーシング業務(テナントの募集)、賃貸借契約の締結、賃料回収、クレーム対応や修繕工事の手配などを行います。一方、BMでは、資産の維持管理をハード面から行います。日々の手入れ、清掃など、巡回、防犯、消防、防災設備の管理などが具体的なサービス内容となります。その他、近年では、ビルの経営状況をオーナーの立場で分析し、収益性の改善に必要なアドバイスを提供する「アセットマネジメント(AM)」も、ニーズが高まっています。

(文:伊東慎一)